諏訪湖畔でひときわ目立つ、レトロな洋風建築。ここは1929年(昭和4年)シルクエンペラーと呼ばれた片倉財閥によって開業された温泉施設です。当時の片倉財閥当主であった二代片倉兼太郎が視察旅行で訪れたヨーロッパの厚生施設に感激し、地元である上諏訪の人々のためになり、温泉、社交と娯楽、文化向上に役立つ施設をと考え、作られました。その美しさと歴史的価値によって今では国の重要文化財にも指定されており、いわば『諏訪の宝』ともいうべき存在になっています。
100人は入れる広大な天然温泉『千人風呂』は、当時の雰囲気をそのままに保ちつつ、ジャグジーや個室も完備。創業から90年を経ても、その人気は健在です。ステンドグラスを施したロマンあふれる美しい内装と心地良い温泉を体験しようと、今も多くの観光客や地元の人が訪れています。
以前から寄せられていた「館内を見学したい」という多くの声に応え、2013年にはガイド付きツアーもスタート(5名より要予約)。当時の高い建築技術や絹産業で栄えた諏訪や岡谷の説明も交えた分かりやすくて楽しいガイドも評判になり、今では入浴者を含め年間13万人もの人が訪れるほどに。「何度も諏訪湖には来ているけど、見学できるとは知らなかった」、「お風呂に今も入れると、最近知った」と驚く人が長野県内の人にも多く、近年では古くて新しい人気スポットとして、再び注目を集めています。
スクラッチタイルで築かれた外観は、完全西洋建築で、珍しい『守り熊』やパイナップルのレリーフなど他では見られないユニークさも特徴。一方、中は204畳もある大広間や東郷平八郎・中村不折の書が飾られた和室もあり、個性的で機能性の高い和洋折衷の建物。設計は台湾総監府など数々の美しい建築を手がけた建築家・森山松之助によるもので、まさに一見の価値あり。細かい工夫や高度な技術が使われた館内をガイドとともに巡るのはとても楽しく、建築や歴史に詳しくなくても夢中になってしまいます。 シルク産業が隆盛を極めた時代の薫りを残す、美しい片倉館。春は桜や新緑、夏は花火、秋はイチョウの黄葉、冬は雪景色や樹氷と、四季折々に足を運びたくなる場所です。
片倉館
〒392-0027
長野県諏訪市湖岸通り4-1-9
TEL:0266-52-0604
【ホームページはこちら】
● 入浴料:大人850円/小人550円(3歳以上小学生まで)
営業時間 10時〜20時(受付は19時30分まで)
●見学料:個人(5名様以上)大人1000円/小人300円 団体(12名様以上)大人800円/小人200円
見学時間 13:30〜、15:30〜(見学時間:45分程度)
最小5名様より最大30名様まで